孤独死の処理の費用相場は?

身内が室内で死亡した孤独死。

家族にとって悲しみに浸ることも許されず降りかかってくる問題の一つが賃貸している部屋の後始末、原状回復です。

特殊清掃の費用は、部屋の損傷具合や汚れ具合によって、数万円から数百万円と変わってきます。

部屋の原状回復までの作業をどこまで行うかによって、料金が変わってくるのです。

業者によっても、間取りや作業によったり、回収量だったり、様々な料金設定や算出方法があります。

ここでは、間取り別、作業量別による特殊清掃の費用の相場をご紹介します。

 間取りによる特殊清掃の費用相場

間取り別の特殊清掃の費用をおおよその目安を紹介します。

特殊清掃は床上清掃から汚物処理、事故物件の原状回復など多岐に渡るため、費用相場は決まっていません。

業者や部屋の家賃相場によっても費用は違いますので、目安程度に留めるようにしてください。

間取り費用
1R/1K30,000円〜80,000円
1DK50,000円〜120,000円
1LDK70,000円〜200,000円
2DK90,000円〜250,000円
2LDK120,000円〜300,000円
3DK150,000円〜400,000円
3LDK170,000円〜500,000円
4LDK以上220,000円〜60,000円

※金額は作業費に人件費・車両費・回収運搬費・廃棄物処分費をあわせた費用目安です

 作業内容による特殊清掃の費用相場

部屋や遺体の状況で作業の内容が大きく変わってくるのが特殊清掃です。

そのため、作業内容で大きく料金が変わってきます。

主な作業別の料金は以下の通りになります。

こちらも業者によって、料金が異なってきますので、目安程度にご覧ください。

作業内容費用
床上清掃30,000円〜
浴室清掃30,000円〜
消臭剤・除菌剤の散布10,000円〜
畳の撤去・取り替え(1枚)3,000円〜
オゾン脱臭(1日)30,000円〜
害虫駆除10,000円〜
汚物撤去20,000円〜

基本的な作業をパック料金にしている業者も多くいます。特殊清掃業者に依頼する場合、具体的な料金を見積もることができる無料見積もりサービスを利用することをおすすめします。

孤独死の処理は特殊清掃業者に依頼するメリットとは?

孤独死の処理を特殊清掃の専門家に依頼すると様々なサポートをしてもらえるメリットがあります。

遺族の手間がゼロになるわけではないですが、煩わしい手間が激減します。

孤独死の現場の遺体の処理だけではなく除菌、脱臭、遺品整理、クレーム対応などをすべて業者に任せることができるからです。

孤独死の処理は素人の手にとても負えるものではありません。

特殊清掃業者に孤独死の処理を任せることによって、遺族の日常生活をすぐに取り戻せるのが、特殊清掃業者に依頼するメリットの一つと言えるでしょう。

 腐敗臭を消すには専門の消臭剤が必要

孤独死の部屋では特殊な防臭対策が必要となります。

なぜなら、孤独死の部屋では遺体より出た血液、胃液や腸から出た腐敗液などの強烈な死臭が漂っているからです。

一度死臭が漂うと、自然と消えることはまずありません。

また、部屋の腐敗臭を放置しておくと近隣住民に迷惑がかかり、時間がかかるにつれて、さらなる住民トラブルにもなりかねません。

そして、その建物の価値を損なうことになり、賃貸物件の場合は原状回復費用が高額になります。

腐敗臭を消すための作業は一般の清掃業者ではなく、特殊清掃業者の分野になり、専用の消臭剤が必要となるのです。

 孤独死の現場には害虫や害獣が発生しやすい

死亡後、遺体が発見されるまで平均17日かかると言われています。

日数が経つにつれ、遺体の腐敗は進みます。

腐敗臭から異変を感じ、遺体が発見されるころには害虫や害獣が繁殖している可能性が高くなります。

遺体が運び出されたあとでも、汚物などの養分を食べ尽くすまで、害虫や害獣は繁殖し続けます。

このため、特殊清掃により、専門の薬剤で害虫や害獣を駆逐する必要があるのです。

 特殊清掃専門業者は遺品整理も依頼できる

特殊清掃専門業者に依頼するメリットとして遺品整理も依頼できることがあります。

遺品整理とは住人が残したものを必要なもの、不要なものに分ける作業です。

法定相続人がしっかり遺品整理を行う必要があるのですが、遺品が大量にある場合、時間がかかりすぎてしまう場合があります。

けれども、特殊清掃業者に依頼すれば、特殊清掃とともに遺品整理も同時に行ってくれます。

業者によっては、必要なものと不要なものを逐一確認を取りながら行ってくれるところもあるので、安心できると言えるでしょう。

 特殊清掃専門業者は事故物件を高価買取してくれる業者を紹介してくれる

特殊清掃専門業者に依頼することで、事故物件を高価買取してくれる業者を紹介してくれるというメリットもあります。

孤独死が放置されていた事故物件の場合、買い手が一般消費者である仲介の場合は、一般的に相場価格の1割程度、自殺や殺人の場合は3割から5割程度安くなることがあります。

けれども、特殊清掃専門業者が高価買取してくれる業者を紹介してくれることがあるので、相談してみるといいでしょう。

特殊清掃の流れとは?

孤独死の現場での特殊清掃では主に死臭などの消臭や汚染物の処理が行われます。

また、遺体の腐乱が激しい場合、体液などが床下まで浸透してることがあり、大掛かりなリフォームが必要な場合もあります。

ここでは特殊清掃の流れについて紹介します。

 現場確認

孤独死を発見したら、まずは警察へ連絡することが大切です。

警察によって、現場検証が行われるからです。

孤独死の場合は新聞が溜まっていたり、異臭に気づいたりした近隣の住民が通報する場合が多くあります。

孤独死を発見しても、むやみに部屋に入ることは控えるべきです。

殺人事件の可能性も否めないからです。

事故死や衰弱死、自殺など、原因がわかるまで故人の自宅へは入れないとお考えください。

 見積もり

警察が現場検証をし、死体検案で事件性がないと判断された後、入室が可能になったら、特殊清掃専門業者へ連絡しましょう。

汚染レベルが進んでしまうと、悪臭によって近隣住民に迷惑がかかってしまうことがあるので、できるだけ早く見積もりを出してもらうことが大切です。

特殊清掃専門業者とは、孤独死特有の体液の汚れや悪臭を取り除き、除菌殺菌をし、原状回復する業者です。

時間がかかってしまうと、汚染レベルが進んでしまうので、あらかじめ汚染レベル毎の簡易金額を聞いておくのも一つの手です。

 清掃作業

調査、見積もりが終わったら、できるだけ早い段階で清掃作業を実施するようにしましょう。

即日見積り対応している特殊清掃専門業者もいますから、即日対応してもらうのもいいでしょう。

清掃作業当日は特殊清掃専門業者が来る時間に合わせて、鍵の受け渡しを行ってください。

 遺品整理

特殊清掃専門業者が清掃作業を終えた後に遺品整理をします。

感染症の恐れがあるため、マスクや手袋は必須になるので、用意しておきましょう。

通常であれば、すぐに遺品整理をすることが多いのですが、孤独死の場合は特殊清掃を行った後に、遺品整理をします。

なぜなら遺体の腐敗が進んでいるため、虫が沸いたり、家財が腐ったりしているからです。

特殊清掃専門業者が遺品整理をしてくれることも多いので、自分ではできないと思ったら依頼してみるといいでしょう。

リフォーム

死後、発見されるまで時間がかかった場合、床や壁に体液や悪臭が染み付いてしまうことが多いです。

遺体の腐乱が進んでいる場合は体液が床下まで浸透してしまうことがあります。その場合、リフォームが必要となります。

壁紙やフローリングの張り替え、備品の交換などを主にリフォームでは行います。

汚れが全く気にならなくなるまで、原状回復をします。

 消臭・脱臭

リフォームが終わったら、部屋の脱臭消臭作業を行ないます。

特殊な消臭や脱臭を行わないと、悪臭が残ってしまいます。

残った悪臭は近隣への迷惑になることがあり、トラブルにつながることも多いからです。

なお、死臭は通常の空気清浄機や芳香剤で消せることは決してありません。

現場では実際に臭いが消えているか確認をしてから、清掃は終了となります。

難しい問題も解決してくれる特殊清掃業者の選び方とは?

特殊清掃専門業者もサービス業の一つなので、選び方を間違えてしまうと後日改めて別の業者に依頼することになったり、高額な追加請求があったりする場合もあります。

ここでは特殊清掃専門業者の選び方についてご紹介します。

 特殊清掃の経験が豊富かどうか

特殊清掃の現場では毎回同じケースで同じ作業をすればいいということはまずなく、豊富な経験や知識が求められます。

実績のない特殊清掃専門業者だと「現場はきれいになったけれど、死臭が全く消えない」なんてことも起こりえます。

経験や知識が少ないと、特殊清掃に対応しきれない場合があるのです。

特殊清掃専門業者に依頼する場合は、過去の実績をホームページで確認するようにしましょう。

明確な値段を提示してくれるかどうか

見積書を提示されたときは、作業内容を含め、明確な値段を提示されているかしっかりと確認するようにしましょう。

わからないことがある場合は、特殊清掃専門業者に質問するようにしたほうがいいです。

中にはいい加減な見積書を作って、後から高額な追加請求をする業者もいるからです。

悪徳な業者は見積書から判断できることもありますから、明確な値段を提示されているかきちんと確認してください、

 誠実な対応をしてくれるかどうか

正式な依頼をする前の見積書の提出などのときに特殊清掃専門業者が誠実な対応をしてくれるか、しっかり見極めましょう。

いくらホームページで良い印象を受けた業者でも、横柄な態度を取る業者もいます。

特殊清掃専門業者は死に向き合う職業です。

遺体や遺族に対して、ぞんざいな態度を取るようでは作業もいい加減なものだと想像ができるでしょう。

作業内容や見積書の内容について、きちんと説明してくれる業者はかなり誠実と言えます。

正式な依頼をする前に、特殊清掃専門業者が誠実な対応をしてくれるのか見極めるようにしましょう。

 特殊清掃を専門にしているかどうか

特殊清掃を事業として行っていても、専門としては行っていない業者がいます。

たとえば遺品整理業や不動産業、リサイクル業などとともに事業を展開している業者もいます。

遺品整理業者は特殊清掃業も兼任している業者も多いですし、技術力もある業者も沢山ありますが、普段から遺品整理ばかり行っている業者もあるので、判断が難しいところです。

特殊清掃はとても専門性の高い仕事です。特殊清掃専門業者を選んだほうが安心です。

ホームページにほかの事業と並んで小さな文字で特殊清掃と書いてある業者は避けたほうがいいでしょう。

ホームページでの「特殊清掃」の位置づけは大きな判断材料になるでしょう。

遺族・親族がいない場合の対応とは?

遺族・親族関係がいない孤立した方の場合、問題になるのは「故人が残したものをどうするべきか」ということです。

故人の財産管理は相続人しか行えないため、むやみに処分するわけにいきません。

けれども、早いうちに部屋を清掃して空にし、新しい入居者を迎えないと大家などの管理人の損害は大きくなるばかりです。

もし相続人がいない場合は、弁護士や警察に相談してみるといいでしょう。

また、故人が残したものの中には財産価値のあるものが残っている場合があります。

このときに管理を依頼できるのが、相続財産管理人です。

家庭裁判所に相続財産管理人を申し立てる

相続財産管理人とは「被相続人である故人に相続人がいないとき故人が生前に精算しきれなかった借金等を支払い、清算後に残った財産を国庫に帰属させる人」のことを指します。

所有権者のいない財産は最終的に国の所有物となりますが、国の所有物とするためには所定の手続きを済ませなければなりません。

相続財産管理人は所有権者のいない財産を適切に管理し、手続きする役割があります。

火葬は市区町村が行う

大家などの管理人は故人の葬儀や火葬を行う義務はありません。

基本的に遺族や親族がいない人が亡くなった場合は、墓地・埋葬等に関する法律により、火葬は市区町村が行います。

なお、火葬した後は一定期間保管され、無縁墓地という共同墓地へ埋葬されます。

相続財産管理人を立てる前に予納金を用意する

故人の財産から相続財産管理人への報酬や経費は支払うことになります。

けれども、故人が負債を抱えていたり、財産では報酬や経費を払いきれなかったりする場合は申立人が予納金を準備しなければなりません。

予納金の金額は振り幅があり、20万円程度で済む場合もあれば、100万円以上かかる場合もあります。

相続財産管理人を立てるよりも、故人の相続人の捜索をしたほうが安価に済むこともあります。

原状回復費用は管理者が負担する

故人に遺族や親族がいない場合、原状回復費用は管理人が負担することになります。

孤独死少額短期保険に入っていれば、一定の額が給付されますが、入っていない場合、全額負担することになるのでかなりの痛手となるでしょう。

事例紹介

ここで一つ現場で起こった事例をご紹介します。

ある晩秋の昼下がりのことです。

車での移動中、携帯電話に事務所宛の電話が転送されてきました。

出てみると、憔悴した様子の女性からで、浴室の清掃を依頼したいという内容でした。詳しく聞けば、父親が浴室で亡くなったと言うのです。

発見したのは私です。ただ、警察の方から見ない方がいいと言われたので、どんな様子なのかはわからないのです

 女性の様子からは、突然の父の死を受け入れなければならなくなった状況がうかがえ、私は直感的に「自殺ではないか」と感じました

事情を察して、私はすぐに現場に見積もりに向かうことにしました。

指示された住所には団地があり、その前に40代ほどと見られる女性が待っていました。

「来てくださって本当にありがとうございます」、そう言って私の右手を震える手で握りしめてきたことから、相当の不安を感じていたことがわかりました。

 部屋に上がると、生臭い血の臭いが鼻につきました。

そして、廊下の床にはポタポタと垂れた血痕が続いていることから、浴室に臭いの元があることがわかりました。

近づいてみると、浴室と廊下を隔てる折り戸の曇りガラスには、無数の赤い点、そして手の跡が見えます。

意を決して扉を開けると、そこには予想していたとおりの惨状が広がっていました。

 浴槽内には血で染まった真っ赤な水、壁には風呂椅子を起点に、天井まで血しぶきが上がった跡。

もがき苦しんだのか、血だらけの手で触ったと思われる跡が至るところに見られました。

 依頼主の女性に見積り金額を伝え、その場で作業を行うことになりました。

幸い、車には一通りの作業ができる資機材は積んでいます。

現場の惨状を女性に見せるわけにはいきませんから、すぐに清掃に取り掛かろうと思ったとき、女性にこう問いかけられました。

清掃する前に、浴室の状態を見せていただけませんか? どうしても父の最期を見ておかないといけない気がするんです

 私にはとても勧める気持ちになれませんでしたが、結局、浴室まで付き添うことにしました。それは、女性の目に強い意志を感じたからです。

 そしてドアを開けた瞬間、やはり彼女は腰が砕けてよろめきました。

しかしすぐに立ち直ると、浴室全体をゆっくり見渡し、ひととおり眺めると、ダイニングの奥にある和室に向かい、畳の上にへたり込みました。

 そっとふすまを閉じると、中からすすり泣く声が聞こえてきます。「やはり見せるべきではなかった」、そう思いながら、作業に取り掛かることにしました。

幸い、死後半日ほどしか経っていないため、腐敗もなければ虫も発生していません。

左手に洗浄スプレー、右手に雑巾を持ち、浴室の前までていねいに血痕を拭き取っていきました。

 次は浴室です。「お疲れさまでした」とつぶやき、塩と酒をひとつまみして浴室内に弾くと、作業を開始しました。

浴槽内の水は血で赤く染まっているものの、配管を詰まらせるような異物はなく、そのまま流しても問題なさそうでした。

 血しぶきがかかったシャンプーや石鹸、洗面器、歯ブラシと、次々に残置物をゴミ袋に入れていきます。

肌着や老人用の紙おむつから、故人が半ば介護状態にあったことがわかりました。

気になったのは、俗にいう十円カミソリです。

ピンク色の柄には、血液によって残された親指と人差指の指紋が残っていました。

首から流れたであろう夥しい量の血痕、そして意識が遠のき力が抜けて床に落ちた十円カミソリ……。

これが家主の命を奪った凶器であることは間違いなさそうでした。

警察は現場検証で事件性がないと判断すると、現場に凶器を置いていくのです。

 死後間もないこと、また浴室で水を大量に使えたことで、清掃作業自体はスムーズに終えることができました。

堪えたのは、やはり遺族の方がすぐそばにいたことです。

聞けば、故人は70代、妻とも死別して一人暮らしをしており、長く持病を患った末の自殺ということでした。

 実はこの依頼主の女性は、2日前に故人に会っていたのだそうです。

そこで「今までありがとう」と唐突に言われたことで、違和感を感じていたと言います。おそらく故人は自殺の覚悟を決めていたのでしょう。

 遺書はなかったため真実はわかりませんが、女性から聞いた話からは、さらなる介護状態になる前に逝こうと考えたのではないかと思われました。

もちろん、その決断は、遺族はやりきれないものです。

しかし私には、故人は最期までプライドを持って生きたのだと感じられました。

まとめ

事件現場清掃人

孤独死の処理の費用相場や特殊清掃専門業者への依頼や特殊清掃のやり方、流れ、遺族や親族がいない場合の対応、実際の事例について紹介しました。

 当社では孤独死された方の部屋の原状回復を徹底しています。

不動産オーナー様は一日でも早く原状回復し、客付けできることを願っていることでしょう。

新しい入居者様が一日でも早く生活できる環境を整えるため、できるだけ最短で原状回復作業を進めさせていただいております。