「目的地である部屋から少し離れたコインパーキングにトラックを停めた。辺りはもう薄暗く遠くに赤く染まる空が僅かに見えている。この車以外に駐車車両はない。ダッシュボードの中から、かなり長めの数珠を取り出し、それを左手首に巻きつけ、狭い車内のバケットシートからねじり出るように外に出た。トラックの荷台のトノカバーを開け、ひとつ道具入れを手にした。大きさにすると三十センチ四方程の大きさだろうか。

コインパーキングから数分歩いたところにその部屋はあった。木造建築のアパートの二階にある一番奥の部屋がそこだ。今にも朽ち落ちそうな鉄製の手すりを無意識に掴んだが慌てて手を離した。足元を見ると鉄でできた階段の腐食部分から一階の部屋から漏れる灯りが差し込んでいる。カツン…カツンと一歩ずつ安全を確かめながら二階へ上がった。

一番奥の部屋の玄関ドアの前に立ち、ポケットの中から先ほど依頼主から預かった鍵を取り出した。

ドアの隙間から漏れているのであろう、この時点ですでに臭う。

ドアノブに鍵を差し込みそれを回すとカチッという入室許可の音が鳴った。

「(さぁて、いくか…)」

鍵をポケットに入れドアノブを回し、ゆっくりと扉を開けた。

(本人の体験を元にしたフィクションです)